データセンターの未来を拓く:AIとロボット技術の進化がもたらす運用の変革

K-Iwasaki

2023年、ChatGPTなどを中心にした生成AIの急速な普及が大きな話題となりました。また、ChatGPTを大きく凌ぐともいわれているGoogle Geminiの正式リリースもまもなくであり、2024年はAIがますます進化し、日常生活や仕事における活用の幅がより広がっていくだろうと思われます。また、ロボット技術についても年々進化を続けています。このような背景の中、データセンターの運用においてもAIやロボット技術が導入される傾向が強まっています。

ロボットの活用

最近、データセンターでの導入が増加しているのは、データセンター内のセンサーデータの収集や定期的な巡回点検など、定型業務におけるロボットの活用です。先日、Digital Edgeがサイト内の顧客誘導にロボットを利用しているというニュースが発表されましたが、このような活用事例はオフィスや店舗などでも既に普及しており、一般的になっています。

他には、Digital Realty、Novva、Oracle、Kio、Scalaなどは、施設内の監視やセンサーデータの収集の目的でロボット犬のテストを行っています。

日本国内でもデータセンターでのロボット導入の取り組みが始まっています。NTTデータは、15か所のデータセンターでシンプルな胴体車輪型ロボットを導入し、湿度、熱などのデータポイントのテストや、初歩的なタスクの遂行を行なっています。また、NTTコムもデータセンター・ロボットの開発に取り組んでいます。富士通も一昨年、ロボットによる自動機器検査を実現する計画を発表しました。

このほか、Huawei(ファーウェイ)、Alibaba(アリババ)、Naver(ネイバー)も、施設内にロボットを配備していることが知られています。

データセンターでは、機器の設置などの物理作業も重要な要素です。最近では、これらの作業をロボットを使い行う取り組みが始まっています。NTT Global Data CentersフランクフルトデータセンターのTechnology Experience Labでのロボットによるディスク交換やパッチケーブル接続作業を行うデモンストレーションムービーがYouTubeで紹介されています。

AIの活用

次にAIの活用に関してですが、AIを活用する前提として必須となるのは、AIが分析するための必要なあらゆるデータの収集です。データセンターは複雑な構成で成り立っており、電力・温度・湿度・風量・スペース・ケーブルなどの多岐にわたる情報を収集して、それらをお互い比較しつつ最適な構成が何なのかを導いていかなければなりません。このような分析はまさにAIが得意とするところであるのですが、現状はまだその入口に立っているに過ぎないと私は考えます。

電流計測や温度計測は一般的に行われるようになりましたが、さらにほかの情報は計測されていなかったり、あるいは手計測・手入力で管理されていたりします。また、それぞれのデータが個別のツールで分散されて管理されていると、双方のデータを合わせて分析することは困難です。そこで、DCIMツールを導入して、データを統合するところから始めることが推奨されます。DCIMツールでは電力・温度・湿度・風量・スペース・ケーブルなどの多岐にわたる情報をひとつのデータベース内に格納し、分析を容易にします。

データセンターは大量の電力を消費するため、エネルギーの利用効率の向上は喫緊の課題です。その課題に対するソリューションのひとつとして、エネルギー利用効率の向上を実現する機能が現在利用できます。このソリューションは完全にAIというものではありませんが、膨大な収集データを分析し、最適解をユーザに提示するものです。

AIは他にも、機器の動作データを分析し、故障の予兆を検知したり、様々なデータセンターの運用データから有益な情報を取り出し解析し、運用プロセスを最適化したりといったことに活用できそうです。このような課題に対処するために、データセンター運用でも今後はAIの導入が進んでいくものと考えます。

さらに未来は・・・

さらにAIが進歩することにより、自律型(autonomous)のデータセンター運用の概念が現実味を帯びてきます。(レベル5DCIM)これは例えば、リアルタイムでデータをモニタリングしたデータをAIが瞬時に分析し、機器の故障を事前に検知し、メンテナンスを自動的にスケジュールしたり、問題が発生した際に自動で対処したりするようなものです。おそらくこの自律型システムにはロボット技術も必要になってくるでしょう。

AIやロボット技術のデータセンターへの導入は、運用の効率向上と共に将来の持続可能性にも寄与します。これらの技術は今後ますます進化し、データセンター運用の新たな展望を切り拓いていくでしょう。


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