サーバールームの3D管理のメリット、そして注意すべきポイントとは?

K-Iwasaki

3Dユーザインターフェースは、アイデアの段階からさかのぼると、その歴史は意外にも古く、研究自体はすでに1960年代には始まっていたようです。しかし、本格的に実用レベルで使用されるようになったのは、コンピュータ性能の向上やコンピュータグラフィックス技術が進化した2000年代以降でした。

その後のテクノロジーの進化は驚くべきものであり、VR/AR技術を活用した仮想空間は今や珍しくなく、3D画像や映像だけでは特別なものではなくなりました。

また、データセンターインフラ管理(DCIM)システムの世界でも、3Dユーザインターフェースを使用した管理手法は既に10年以上前から一般的なものとなっています。このような背景から、当ブログではこれまで特に3Dユーザインターフェースに焦点を当てることはありませんでした。

しかしながら、再考する価値があるのは、その本質を見つめ直すことです。そこで、DCIMにおける3D管理のメリットとデメリットについてまとめてみることにしました。

サーバールームの物理インフラ運用担当者が時折抱える悩みは、ラック内に機器やケーブルが十分に収まるかといった、目視確認が必要な問題です。これらの課題を解決したいという声はよく聞かれます。

近年、「デジタルツイン」という概念も注目を集めましたが、3D表示の最終目標は「現実をどれだけ忠実に再現できるか」にあると考えます。もし、仮想現実のような画面を通じてリモートで現場調査が可能になれば、先述した問題の解決に寄与することでしょう。

私自身は10年ほど前、高精細な3D表示を特徴とするDCIMソフトウェア(iTRACS)の販売・導入に携わっていました。それはまさに「現実をどれだけ忠実に再現するか」の目標に近づいた存在であると考えていました。右図はラック内の機器の配置状態や配線のルート、電流計測値を、現場とほぼ同様に表示させた例です。管理ソフトウェアは、現場の状況を高い精度で再現できることが重要であるとし、それをアピールポイントとしていました。

このように、高い再現性を持つDCIMソフトウェアは、かなり以前から存在していました。

3D管理するメリットは?

それでは、本題となりますが、サーバールームの3D管理にはどのようなメリットがあるでしょうか?簡潔に言うと、文字情報や2Dのフロア平面図・ラック搭載図よりも直感的かつ迅速にラック内の機器設置状況を理解できるため、安心感が生まれると思います。では、その『安心感』が運用に具体的なメリットをもたらすのでしょうか?一つのメリットとして、現地調査の必要性が軽減されることによる『作業時間の短縮』や『効率化』が挙げられます。

さらに、別の観点からも考えてみましょう。なぜ現地調査が必要になるのでしょうか?以下のような理由が考えられます。

  1. ラック内の機器設置状況(マウント/配置位置・箇所、奥行き)を理解し、新しい機器を収容できるか判断する必要がある。
  2. 機器(接続元と接続先の両方)の空いているポート位置を把握し、ケーブルの取り回しを計画する必要がある。これにより、適切なパッチケーブル長を見積もることができる。
  3. 大きなソケットサイズの電源ケーブルが、他の機器と干渉なくラックPDUのアウトレットに挿入できるかを確認する必要がある。
  4. ラック内の側面収容スペースの状況を確認し、ケーブルが過剰でラック扉が閉まらないといった問題を予防する必要がある。

1と2については、DCIMが支援できるため、ラック内スペースに余裕がある場合、効果的なツールとなるでしょう。しかしながら、3と4については、難易度が高いと言わざるを得ません。これらの目的を達成するためには、より詳細な情報が必要であり、数値だけでは決定できない微妙な要素が影響します。

ただし、Excel台帳のような手法と比べると、可視性の差は明白であり、現場の運用を段階的に向上させる一助となることは疑いありません。

また、3D表示の直感的な性質は、スタッフのデータセンターインフラ・リテラシーの違いを埋める効果も持ちます。

注意すべきポイントとは?

    ただし、精密な3D表示を実現するためには、データの登録や設定が複雑になってしまう可能性も考慮しなければなりません。DCIMを導入し運用する際、ユーザーが抱える課題の一つは、データ登録やメンテナンスの手間、そして簡潔でない操作性といった面です。

    例えば、前述したリストの3と4に関して、iTRACSではラック内外のケーブルルートをXYZ軸で事前に設定することで、ケーブル接続を登録すると、システムが最短のルートでケーブルを自動的に描画し、ケーブル長を表示する機能が備わっていました。また、ケーブルごとの直径情報を持たせ、それをリアルに表示させることで、ケーブルの敷設状況やスペースの利用可能性を「一定の感覚で」把握することができました。しかしこれは感覚的なものに過ぎず、あくまで参考程度でしかありませんでした。したがって、これは現地調査の必要性を完全に除去するものではありませんでした。同時に、XYZ軸上のケーブルルートやケーブルの直径など、一つひとつのポジティブな情報を登録していく手間が必要であり、これは運用担当者の負担を増加させる懸念がありました。また、操作の複雑さと高性能なGPUの要求という課題も存在していました。

    現時点での落としどころ

    このように、「現実をどれだけ忠実に再現するか?」を追求しても、100%の現地調査を完全に代替することは難しく、逆に負担が増えてしまう可能性もあるため、個人的には約70%程度の代替が可能であり、同時に操作の容易性を維持することが重要であると考えます。現在の状況では、適切なバランスを持つシステムが望ましいと考えています。

    Sunbird dcTrackは、そうした適度なバランス感を持っている製品であると考えています。

    dcTrackでは、3D表示において、ラックの外寸や搭載機器の外寸を正確に描画し、ユーザーは画面上から新たな機器の搭載が可能かどうかを確認できます。また、各機器やPDUのネットワークおよび電源ポートの位置も確認できるため、ユーザーがラック内のケーブル長を試算する際に支援します。

    データ登録も非常に簡単で、操作性もシンプルです。また、グラフィカルの解像度を必要以上に上げていないこともあるのか、高性能なGPUも特別な追加プラグインなども一切必要とせず、ストレスなく軽快に動作します。

    お客様の中には、より究極なソリューションを求める方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはこうしたある程度割り切ったシステムが、より実用的なアプローチと言えるかもしれません。皆様はどうお考えでしょうか?


    データセンターインフラ運用課題解決に向けたご相談は、DCIMのスペシャリストベンダーである弊社までご相談ください
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