リアドア採用に向けて冷水配管を構築するときはラック上部と下部のどちらがいいのか?

T. Mogi

お客様と会話していて、「リアドアの冷水配管は、ラックの上からと下からのどちらがいいの?」ということをよく聞かれます。
「必ずこうが良いです!」ということはありませんが、それぞれの利点や課題について、整理してみたいと思います。
リアドアはラックあたり30kWや40kWの大容量冷却ができるため、排熱能力や冷却効率を高める関係上、水冷となるのが大きな特徴と言えます。
日本では、水の配管をサーバルームに持ち込むアレルギーがある方もいらっしゃると思います。
しかし、海外では既に何年も前から実績があり、効果的に実用されていることが実証されています。
また、日本においても、データセンターでの実績が近年増えています。
コンピューターの処理能力が飛躍的に向上していることから、前述のようなラックあたり30kWや40kWクラスの冷却が必要となると、通常のコンピュータ用空調機では賄えなくなってきているのがその証なのでしょう。
これからその傾向はさらに高くなっていくのではないかと思っており、こういった配管の手法など、話題として広がっていくのでしょう。

さて、本題ですが、配管の考え方がざっとでも分かりますと、導入に際してハードルが下がるかもしれません。
やはり空冷よりも水冷の方が、冷却効率が高くなりますので、是非最後までお読みいただけると嬉しく思います。

 

リアドアとは

まず、リアドアについて簡単に説明します。
リアドアはラックマウントした空冷サーバを効率良く冷却することに特化した製品です。
空冷サーバは一般的には、前面から吸気し、サーバ内で冷却させ、背面から排出しています。
リアドアはその名の通り、ラックのリア側(背面側)に冷却コイルを実装させることによって、サーバの背面からの排出された熱をダイレクトに除去することができるため、高効率(最近傍で処理が可能)だと言えます。
極端な例えですが、25℃で吸気した空気を、リアドアでダイレクトに冷却し、25℃で排出することが可能な製品です。

 

冷水とは

リアドアのコイル(熱交換部)で、冷却させる理論上、コイルには常に一定の温度の冷水が充填され続けなければなりません。
ここでは細かな説明は省きますが、冷たすぎる冷水をラックに通すことは、結露に繋がるため、過度な低温にならないように設計することが重要と言えます。
※結露については、以前、「サーバルーム冷却の結露問題」というブログを書いていますので、是非ご参照ください。

高温冷水と言うような言い方をしますが、概ね15℃くらいの水温の冷水をリアドアに送水することが一般的ではないでしょうか。
また、冷水が常に充填されている状態を作るには、熱源が必要になります。
一般的には、リアドアの上位に、チラー(冷凍機)などの熱源装置を導入し、水を搬送するポンプを導入することで実現させます。

 

冷水ラック上配管と下配管

では、それぞれのメリットとデメリットを整理したいと思います。

〈冷水上配管〉
◇メリット:
 ・配管が目視できるため、ルートや障害ポイントがひとめでわかる。
 ・床下の配管スペースが不要になるため、スペースの有効活用が期待できる。
 ・ユーザーが普段手に触れることがないため、運用中の二次災害が防げる。
◇デメリット:
 ・漏水の際に被害が大きい。(冷水はポンプ搬送のため圧力がかかっており、小さなピンホールでも漏水量が多くなる)
 ・漏水対策のための漏水パンなどの投資が必要。
 ・ラック上部に相当量の空間が必要になるため、フロア高に余裕をもたなければならない。
 ・高所になるため、メンテナンス時は専門業者の依頼が必要。

〈冷水下配管〉
◇メリット:
 ・床下のため、メンテナンスが容易。
 ・漏水時にラック内のコンピューターへの影響が少ない。
 ・ユーザーでも手に触れられる位置のため、対応がしやすい。
◇デメリット:
 ・床下のため、ルートや障害ポイントが分かりにくい。
 ・床下スペースを配管で圧迫するため、それなりの床高が必要かつ配線スペースに影響がある。
 ・ユーザーが触りやすいため、誤って手に触れたり踏むことによる二次災害が懸念される。
 ・漏水対策のための漏水パンなどの投資が必要。

 

さいごに

繰り返しになりますが、コンピュータの処理能力は年を追うごとに大きくなってきています。
スマートフォンを個人で複数台所持したり、IoT(Internet of Things)でたくさんのモノがIT化されるなど、産業界だけでなく、個人でもITが不可欠となり、もはや水や電気やガスと同列の「ライフライン」だと言っても、違和感がありません。
コンピュータの処理能力が大きくなるということは、高電力や高発熱と同じ意味を持つことになり、冷却装置も相応の変化を求められます。

皆様のサーバルームは変化への準備はできていますか?

我々DC ASIAでは、リアドアの取り扱いをしています。
以下の製品となりますので、是非製品ページをご覧ください。
冷却する熱量が大きなものまで様々にラインナップがあります。

 

Motivair製 Chilled Door

Motivair | ChilledDoor
 アクティブ方式
 冷却能力 : 約12kW~75kW/ラック

 

 

 

 

nVent製 RDC

nVent | RackChiller Rear Door Cooler
 パッシブ方式 / アクティブ方式
 冷却能力 : 約30kW~50kW/ラック

 

 

 

DC ASIAでは、皆さまのデータセンターのコンサルテーションを積極的に行っています。
相談してみたら、データセンター構築や運営のヒントが見つかるかもしれません。
データセンターファシリティの知見について、DC ASIAは小さい会社ながらも自信を持っています。
小さな疑問でも結構ですので、是非ご相談ください。

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