弊社取り扱いDCIM各製品を比較してみた~その2:トレンドチャート

K-Iwasaki

DCIMツールの最も基本的な機能である電源監視や温湿度などの環境監視機能は、データセンターのサーバールーム内に配備された様々なセンサーが計測したデータを取得後データベース内に蓄積します。
データがデータベース内に蓄積されることで、センサー単体での監視ではできなかった過去のトレンド分析ができるようになります。(一般的にセンサーデバイスのフラッシュメモリにはわずかなバッファ領域しかありません)

そこでDCIMツールがそのトレンドチャートを表示する役割を担うわけですが、単に時系列のグラフを表示する機能はそんなに違いはないように思えます。しかし、ここではあえて今まで誰も触れてこなかった?比較をしてみました。(細かな使い勝手によって運用負荷は少しずつ変わりますからね)

尚、Struxureware DCE / Power IQ / dcTrackは同一条件で、garmitはサンプルデータを元に表示しています。
(※「iTRACS」は今回比較対象から外しています)

Schneider Electric Struxureware Data Center Expert

Struxureware Data Center Expert(DCE)は専用GUIならではの画面構成で、上下2つのペインに分かれていて、上段はトレンドチャート、下段は最新値、最大値、最小値、平均値、デルタ値などが一覧で表示されておりわかりやすいです。センサーの種別を選ばず、あらゆるセンサーの中から任意に選択したものだけが一つのグラフ上に表示されます。

表示粒度はシステム側の全体設定で設定したスキャン間隔に応じて決められます。ポーリング間隔とスキャン間隔共最小値は1分ですので、最小の表示粒度は1分となります。表示粒度は表示期間に関わらず変わりませんので、長期間の表示をした場合、非常に細かなチャートとなりますが、表示をロードする時間に影響は無いようです。

ツールチップはセンサー個別にしか表示されないのが若干不便ではあります。

ちなみにStruxureware Data Center Expert(DCE)にはウェブUIも用意されていますが、ウェブUIのダッシュボード上で表示されるチャートは簡易的なもので、ざっくりの傾向を知る分には良いかもしれませんが、専用GUIほどの機能はありません。

Sunbird Power IQ

Power IQでは、電流値、電力、温度など、カテゴリ毎に分けてそれぞれ個別のチャートを表示させる仕組みとなっています。電流値と温度をひとつのチャートに表示させることはできません。その代わり、ひとつのダッシュボード画面上に、電流値と温度のウィジェットを並べて同時に表示させることが出来ます。

表示させるセンサー範囲については、任意で選択した複数のセンサー個別であったり、ラックや部屋全体を集計させることもできます。

表示粒度については設定した期間によって決められています。例えば1時間の表示ではポーリング(最小15秒間隔~)で取得した生データが表示できますので、最小15秒間隔の粒度で表示できますが、24時間だと1時間毎にサマライズ(平均化)したデータ、1週間や1か月になると1日毎のサマライズデータを表示するようあらかじめ決められています。
ちなみに過去24時間チャートは、厳密には23時間の表示となり(例:前日10時~9時まで)ますので24時間チャートでは現在値はすぐに確認できません。よって、直近のリアルタイム値を確認されたい場合は過去1時間チャートを利用する必要があります。24時間チャート以降は過去の傾向分析をする目的で利用される仕様のようです。

使い勝手についてはMulti Series Tooltip(マルチシリーズ・ツールチップ:同じ時間軸での複数センサーの値がポップアップで表示される)があるのでわかりやすいです。

Sunbird dcTrack

dcTrackはPower IQとAPIで同期することで、Power IQが取得したセンサー計測値をGUI上に表示します。Sunbirdではよりリアルタイム性を追求するのはPower IQとしているのか、dcTrackではチャートの自動更新間隔が5分~となっています。その代わりにdcTrackではPower IQをしのぐ数の多種多様なダッシュボードが用意され、分析に活用できます。dcTrackはどちらかというと傾向分析をメインで考えられているような設計のようです。

ただ、dcTrackではPower IQと違いチャートに柔軟性があります。例えば温度と湿度を一つのチャートに表示させたりできます。また表示粒度も表示期間にかかわらず自由に設定する事が出来ます。しかし長期間のデータを精細な粒度で表示させるには、データのロードに時間がかかりますので注意が必要です。

24時間チャート以降はPower IQと同じで、過去の傾向を確認するために使い、リアルタイム値は1時間チャートを利用する形となります。

使い勝手についてもPower IQと同様、Multi Series Tooltip(マルチシリーズ・ツールチップ:同じ時間軸での複数センサーの値がポップアップで表示される)があるのでわかりやすいです。

デンソー garmit

garmitは特に監視系機能が充実しているDCIM製品です。日本国内のお客様からの要望を機能にフィードバックしていることで、日本独自の運用ユースケースにマッチする機能があるかもしれません。

garmitではチャートを表示するには、検索をするところから始まります。ロケーション・所属・タグやハッシュタグなどの検索条件、そして表示期間を設定する必要があります。検索条件を何も設定せずに表示させることもできますが、その場合全てのデータがロードされますので、規模が大きいサイトでは非常に時間がかかってしまいます。よって検索での絞込は必須となります。オペレーターは、あらかじめタグ付けなどをしておいて、各自の検索条件をある程度頭に入れておくことがgarmitを使いこなす上で重要ではないかと考えます。

また、一つのチャート内には、電流・温度・湿度・電気錠などから選択した複数の異なる種類のセンサーを同時に表示させることができます。

チャート上にしきい値のラインを表示してくれるのはありがたいですね。更にgarmitではグラフの線の色を任意に設定したり、Y軸(縦)の範囲を任意に設定してチャートを見やすくさせられる気配りの機能があります。

尚、garmitのチャートには生データを見る「リアルタイムチャート」と1時間毎に平均化された過去データを見る「ダイジェストチャート」の2種類が用意されています。

まとめ

このようにたった一つのトレンドチャート機能一つとっても、いざ比較してみると各製品で細かな機能の違いがあることが分かりました。
以下、今回確認できた内容を簡単な比較表としてまとめてみました。

DCIM導入で失敗しないためには、皆様の運用のパターンに最もマッチする製品をしっかり吟味していくことが重要です。DCIM導入の際のご相談は是非弊社までお問い合わせください。


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