データセンターの種類別で異なる運用パターン(企業・コロ・ホールセール・MSP)

K-Iwasaki

「データセンター」と一言で言っても、実はいくつかの種類に分類されます。

まず、データセンターはサーバーなどのICT機器を収容する堅牢な建物であり、その施設内にはICT機器を正常に稼働させるための設備(電源、空調など)があります。この構成はどんなデータセンターでも基本同じです。物理面で見ると違いは全くありません。

次に、建物設備ICT機器はそれぞれの人(or企業)により維持管理されます。
建物を管理する人(or企業)、設備を管理する人(or企業)、ICT機器を管理する人(or企業)は、管理するだけでなく、それ自身を貸し出すサービスも提供したりもします。例えば、建物を管理する企業は建物や建物内スペースをリースしたり、建物と設備をセットでリースしたりすることがあります。あるいはICT機器を管理する企業がICT機器を使ってサービスを提供する事もあります。
要するにデータセンターは「物理面では同じ」構成ですが、人(or企業)が管理で介在することにより、サービスとして提供されるようになり、そのサービス範囲の違いにより大きく以下の4種類に分類されます。

データセンターの種類

  1. 建物設備ICT機器すべてを1社で管理する 

    • エンタープライズ(企業)データセンター
  2. 建物設備を1社が管理し、それをリースする 
    • コロケーションデータセンター
    • (ハウジング)
  3. 建物を1社が管理し、それをリースする 
    • ホールセール・データセンター
  4. ICT機器を1社が管理し、それをサービス提供する 
    • マネージド・サービス・プロバイダー(MSP)※クラウドやホスティングサービスはこれの一形態

管理・運用パターンの違いの詳細(と運用管理ツールで目指す効果)

では次にそれぞれのデータセンターで異なる管理・運用範囲をより具体的に見てみましょう。
合わせて「運用管理ツールで目指すべきポイント」も記載します。尚、「運用管理ツール」とはここではDCIMツールを意味します。

1.エンタープライズ・データセンター

まず、エンタープライズ・データセンターでは、建物とそこに収容されている設備や機器は全て1社で管理されます。自社システムのための自社設備であるため、外部企業にサービス提供するものではないため、かかるコストは全て自社負担です。よって、いかにランニングコストを抑えていくかが重要課題となります。

→ 運用管理ツールで目指すべきポイント:「設備コストや運用コストの削減」

ちなみに、データセンターインフラ管理(DCIM)ツールでは、建物(スペース)、設備(電源・空調設備)とIT機器(サーバー、ネットワーク ※ラック、配線含む)を総合的に管理しますので、エンタープライズ・データセンターでは導入効果は最も得られやすいです。

2.コロケーション・データセンター

コロケーション・データセンターでは、建物と設備はデータセンター事業者が管理し、ラックやエリアを利用顧客にリースします。データセンター事業者の主な責任範囲は建物と設備を維持管理し、サービスを利用する顧客に対し、なるべく高い可用性を提供する事です。よって、コロケーション・データセンターでの運用は設備の状態監視がメインとなります。しかし可用性を高めるあまり、余剰な電力容量、余剰な冷却容量を設けるといった運用は環境にも自社のコスト面でも良くありません。
そこで常に設備リソースの利用状況を把握し、適切なキャパシティ管理を行い、コストを削減することも求められます。

→ 運用管理ツールで目指すべきポイント:「設備の可用性の担保」+「設備コストや運用コストの削減」

ちなみに、コロケーション・データセンター事業者はラック内IT機器については管理対象外ですが、海外の最先端事例を見ると、データセンター利用顧客がラック内IT機器を管理できるよう、データセンター事業者がDCIMサービスを提供するケースがあります。利用顧客は各自自社のラック内機器の登録を行い、それら情報はデータセンター事業者に共有されるため、利用顧客の利便性を高めるとともに、データの齟齬が起きないため「リモートハンズ」サービスを今まで以上にスムーズに進めることが出来るようになります。

3.ホールセール・データセンター

ホールセール・データセンターは大きく分けて2種類あります。ホールセール・データセンターとは、一般に建物全体を1企業顧客に丸々リースする形態ですが、建物のみを提供するパターンと建物と設備を提供するパターンがあります。「建物と設備を提供するパターン」については、コロケーション・データセンターの箇所で説明しましたので、ここでは「建物のみを提供するパターン」として説明します。

ホールセール・データセンター事業者は建物の維持以外は全てリース先企業に委ねますので、運用管理的な要素はほぼありません。

→ 運用管理ツールで目指すべきポイント:「特になし」※DCIMを使う必要性があまりない

4.マネージド・サービス・プロバイダー

マネージド・サービス・プロバイダー(MSP)は、一般的にはデータセンター設備のスペースを借り、そこで自社のサーバーなどのIT機器を稼働させ、サービスを提供します。彼らは建物の管理はせず、設備と自社のIT機器を管理します。IT機器の管理の中には、IPアドレス管理や仮想化環境管理、アプリケーション管理などに加え、資産(アセット)管理や配線(ケーブリング)管理も含まれます。資産(アセット)管理や配線(ケーブリング)管理は重要ですが、例えばパブリック・クラウドサービスの場合は、一般企業のように雑多な機器があるわけでなく、均一のサーバー群が並ぶ構成となることもあり、その場合は物理面での資産管理は非常にシンプルになります。

→ 運用管理ツールで目指すべきポイント:「設備コストや運用コストの削減」


このように、データセンターの種類によって、運用パターンや管理対象範囲は異なります。この点を理解したうえで、それぞれに最も適した運用管理ツールを選定していくことが重要です。


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