各社DCIMツールのスマホ表示を比較してリモートワーク対応レベルを検証してみました

K-Iwasaki

「テレワーク」「リモートワーク」などという言葉もだんだんと一般化してきました。この新しい働き方は、業務効率・生産性の向上やワークライフバランスの改善によるストレス軽減など、多くのメリットがあることもわかってきました。
また最近では「ワーケーション」という、観光地やリゾート地でテレワークを活用し、働きながら休暇をとる過ごし方も注目を浴びてきています。これからは「いつでも・どこでも」働ける業務環境が求められます。リゾートで仕事って憧れますよね!?

しかし日本はまだデジタル化の遅れや、あるいは過去のアナログ的な業務慣習からなかなか抜け出せず、海外と比べてリモートワークの普及は遅れがちです。特に日本の会社の場合、個人主義・成果主義の外資系企業と違って、個人個人が自立して動くというよりチームで動く働き方が民族的にも定着しており、個々の業務範囲や評価基準もあいまいで、それも日本のリモートワーク普及率の低さの原因になっているという説もあります。


さて、前置きはさておき、本題に入りましょう。
(その前にちょっとしたトリビアをひとつ。本日、7月の最終金曜日である2021年7月30日は、システム管理者の日(System Administrator Appreciation Dayです。そこで今回はシステム管理者の日にちなんで、「企業のITインフラ管理者」向けの内容です

さて、業務内容があいまいになりがちな日本企業の中でも、ITインフラ管理者の業務は「ITインフラの可用性や効率性を維持する」といった風に比較的はっきりしている方です。

ITインフラ管理者の業務負荷は結構ハードであると言われます。
システムにアクセスできない、ネットワークがつながらない、など日々様々なユーザーからのサポートコールに対応しなければならず、小規模でもシステム障害が起きると休日返上で復旧対応の為出社しなければならなかったり…と、ワークライフバランスどころではありません。また「一人情シス」も多いと聞きます。

しかし今は、リモート管理・制御テクノロジーは発達し、それら様々なソリューションを組み合わせれば、毎回障害のたびに会社に出社しなくても済むようになりました。しかし、それらソリューションの多くは論理層でのものであって、物理層ではありません。
障害の原因がは物理層の問題であることも多く、その部分が見えていないと切り分けに時間がかかってしまい、そして物理層であるが故、サーバールーム現場に出向いての対応をどうしても余儀なくされます。

そこで、サーバールームの物理層全般を包括的に監視・管理・制御を行うDCIMツールの出番です。
物理インフラも手に取るように可視化できて、場合によってはリモート制御もできればITインフラ管理者の負荷は更に楽になります。リモートワークはもちろん、ワーケーションの可能性も現実味を帯びてきます。
ではそのリモートワーク対応レベルの実力を見極めるうえで、今回は弊社取り扱いのDCIM4製品を対象に、スマホ1台でどこまで業務ができるかを比較検証してみました。

各DCIM製品のスマホ対応の比較

1. Ecostruxure IT Expert [Schneider Electric]

Schneider Electric社のEcostruxure IT ExpertはもともとクラウドベースのDCIM(DMaaS)ということで、いつでもどこからでもスマホ専用アプリを介して自社の管理インフラの状態をできます。

スマホアプリというだけあって、スマホ上での閲覧性や操作性は抜群です。スマホアプリの機能面は以下のようになっています。

  • – デバイス一覧、アラーム情報、センサー情報
  • – 重大アラームの発生をスマートフォンにプッシュ通知
  • – デバイス情報ダッシュボード(センサーのグラフ表示を含む)

そして、Schneider Electricが提供する遠隔監視サービスであるEcostruxure Asset Advisor(EAA)を契約すると、重大アラームをインシデントとして管理・追跡され、Schneider Electricのサポート担当者とのチャットができ、リモートでのサポートも受けられるようです。

デバイスの設定変更などのメンテナンスはスマホアプリではできず、ウェブインターフェースのみの機能になっています。

2. dcTrack / PowerIQ [Sunbird]

Sunbird社のDCIM(dcTrack / PowerIQ)はHTML5対応の完全ウェブインターフェースとして提供されています。そしてウェブインターフェースはレスポンシブ対応となっており、スマホやタブレットで開いても、常にデバイスの画面サイズに最適化された形で表示されるのでとても快適です。そしてウェブインターフェースはパソコンで開くものと同じものなので、もちろん機能面も全く同じです。

実際に使ってみたところダッシュボードについては画面が最適化され、非常に快適に閲覧できました。

3Dビジュアライゼーションについては閲覧はもちろんできますが、やはり画面サイズの関係でパソコン画面のように広範囲に様々な情報を閲覧する事は厳しいと感じました。とはいえ、3Dを回転させながらラックの状態を閲覧するのは快適です。
3Dビューのサブメニューボタンは縦表示だと表示しきれないので、一時的に画面を横向きにしないといけませんでした。

しかし全般的にストレスなく操作、閲覧でき、PCのウェブインターフェースと比較してもほとんどの機能が使えることが分かりました。

3.garmit [デンソー]

株式会社デンソーのgarmitもSunbirdと同様、完全ウェブインターフェースでGUIが提供されています。そしてこちらもレスポンシブ対応となっています。
よって、こちらもパソコン上のインターフェースと同様の操作ができます。

フォントサイズも適度に大きく、操作性も快適です。概ね不具合なく表示されました。
ただ、縦画面だと表示エリアの問題で、どうしても表示しきれなかったり表示がつぶれてしまったりといったことがありましたが、これについては、さすがにレスポンシブとはいえ、スマートフォン表示の限界なのかなと思います。
表示が苦しかった箇所は以下の通り

  • – トレンドグラフはややつぶれ気味
  • – (例えばインシデントログなど)テーブル形式で表示するものは、全てを一覧で見ることはできない(但しこれはgarmitの問題ではなく、テーブル表示全般の問題)

特にgarmitについては操作が基本タップ操作のみとシンプルなので、スマホ上でも迷うことなく快適に操作できそうです。

4.iTRACS DCIM [Commscope]

Commscope社のiTRACS DCIMについては、精細なアセット情報、ケーブリング結線情報が閲覧できる非常に強力な3Dビューが特徴ですが、ユーザーインターフェースはWindowsベースであり、またグラフィック描画性能を要求するので、スマホでの利用はできません。
その代わりにiTRACSではウェブインターフェースも提供しています。ただ、現バージョンでのウェブインターフェースではその特徴的な3Dビューは使えません。
スマホで3Dビューをストレスなく操作できるSunbirdと比較すると物足りませんが、2Dとしての表示は可能です。

ただ、残念ながらウェブインターフェースはレスポンシブ対応となっていないため、情報の閲覧には多少ストレスを伴います。

iTRACS DCIMについては、やはりWindowsベースの専用ソフトウェアを使い操作するのが最もそのポテンシャルを引き出せる使い方となります。
可能性としては、例えばVPNで社内の専用端末にログインして、遠隔操作で利用するといった使い方も考えられますが、インターネット越しの3Dビューの操作はオーバーヘッドが大きく、表示がどうしてもカクカクしてしまいます。

よって上記の理由から現状ではiTRACS DCIMはリモートワークに十分対応できているとは言えません。


いかがでしたでしょうか?今回はスマートフォンでの表示や操作といったベンチマーク比較でしたが、各社の特徴や強味・弱みが多少ご理解いただけたかと思います。
もちろんスマホ操作はあくまでも補完的なものであり、業務は通常はPC操作がメインになりますので、これだけで各社の優劣は付けられません。

しかしそれよりも、やはり「ウェブインターフェース」対応のDCIMツールを使うことが、これからのリモートワークに対応するうえで重要であると言えるでしょう。


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